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ストリゴラクトンの話

あるセミナーにて「ストリゴラクトン」の面白い話を聞いたので、調べてみた。

米山香織先生/若手研究が世界を変える! - こんな研究をして世界を変えよう

ストリゴラクトンとは

 ストリゴラクトンは、「枝分かれホルモン」とも呼ばれる、植物ホルモン。以下のような構造を持つ化合物の総称である。また、AM菌(アーバスキュラー菌根菌)の感染誘導を行う物質としても知られている。

「六員環(A環)と五員環(B環),ラクトン環(C環)が連なった三環構造にメチルフラノン環(D環)がエノールエーテルを介して結合している特徴的な四環構造をとっており―――」(Kagaku to Seibutsu 53(3): 171-178 (2015) より一部抜粋)

 上記の構造からさらに30種類以上の類縁体が見つかっており、非常に不安定で壊れやすく、ゆえに人工的な合成は困難といわれている。また、この類縁体は、種特異的であったり、科に共通するものであったり(例えばマメ科のみ)、科をまたいで有するものであったりと、未知な部分が多い(Kagaku to Seibutsu 58(10): 571-578 (2020))。さらに、植物はごく微量にしか生成しないので、検出も難しく、ゆえに研究が進みにくいだろうと思う。

 植物は栄養が少なくなると、根からストリゴラクトンを土壌に放出し、これをAM菌が感知すると、感染、共生が始まる。面白いことに、複数の株が密生すると、根から放出されるストリゴラクトンの総量は変わらないが、株ごとの放出量は1/2、1/3...となるらしい。また、異なる2種の作物を混植すると、一方の作物から放出されたストリゴラクトンを感知して分げつ抑制することから、積極的に根から他種のストリゴラクトンを吸収することがわかっているらしい。他にも興味を引く内容と未知の部分が紹介されていた。

 密生の極端な例として芝生が挙げられるが、上記の話がシバにも適当なら、ストリゴラクトン量は限りなく少ないのではないか。ベントグラスがAM菌と感染しにくいのもこれが原因なんだろうか。あるいは、AM菌が感染しにくい一部の植物と何か共通する部分があるのだろうか。これからも注目していきたい分野だった。