Creality K1の不具合 ― 規則的なカスレ
creality K1を使用し始めて約2か月。フィラメントの送り出しチューブの設計や、天井の蓋が動いてしまうとか、ややベッドの傾きがあるとか、いくつか気になるところがあるものの、印刷自体はきれいにできていた。
しかし、年が明けてから印刷の一部がかすれる現象に遭遇した。

上記は本来フラットな一面になる設計。しかし、でこぼこした縞々になっている。かすれる位置はランダムのようだが、かすれている部分は直線一本になっている。ちなみにこの現象は初めて遭遇した。
結論を言うと、原因を解明して解決した...が、くだらないことだった。
原因の究明
印刷のかすれの原因として考えられるのは、
1. フィラメントが湿気る
2. フィラメントの送り出しが悪い
3. 気温が低くく、印刷条件が適さない
4. レベリングが悪い
5. Gコードに何らかのエラー
6. 本体側の不調
思いついたのはこんなとこ。
今回のケースで一番気になるのは、かすれている部分は直線的であること。おそらく、ヘッドが折り返す時(方向転換?)にこの症状がおこり、また折り返す時に再び正常にフィラメントが出るようになっている。
だから、ランダムな不均一性のある症状ではないため、1、3、4ではないと思う。また、5、6の場合、いずれにせよ自分では対処が難しい。2の可能性で考えてみる。
フィラメントの送り出しが悪い?
原因がフィラメントの送り出しに関わる何らかの要因であると仮定し、いくつか試してみた。
まず、フィラメントの流量。100%だからこれ以上は上げられない。
次に、温度。寒くなってきたからフィラメントの動きが鈍くなったのかもしれない。しかし予熱してからやってもダメだった。
今度は送り出しチューブの点検。K1はよくある不具合として、フィラメントを通すチューブの動線が悪く、角度がきつくてフィラメントが時折折れてしまう。そこで、自分はチューブの固定を外して自由にしてある。そこで今回は本体の蓋を開けて開放状態にし、さらに自由にした、がダメ。
フィラメントを送り出すギアがダメなのか、その場合は部品発注と交換しなかきゃなあ...
最後にフィラメント一回抜いて確認してみるか...
で、気づいた。

フィラメント固定具が外れていた。
仮説は当たっていたけど、なんだかなぁ...笑
無事、K1は正常に動き出した。
盗葉緑体性生物の話
あるセミナーにて、「盗葉緑体性渦鞭毛虫」の面白い話を聞いた。
光合成能力を盗んで光合成する
現代の植物や藻類が持つ光合成能力は、細胞内の葉緑体により行われる。この葉緑体は、かつてシアノバクテリアを取り込んだことにより進化したオルガネラである話は有名である。ある鞭毛虫は、自分では光合成能力を持たないが、光合成能力のある藻類を自分の細胞内に取り込み、光合成させることで糖を得る。この現象を「盗葉緑体現象」という。ちなみにその一種は、Nusuttodinium aeruginosum("ヌスット"ディニウム アエルギノサム)といい、名前の通り光合成を盗む盗人(ぬすっと)。かつてシアノバクテリアを取り込み葉緑体になるまでの過程に、もしかしたらこの盗葉緑体現象が起きたのかもしれない、という話。
過去の現象が今でも現在進行中で起きているのは非常に面白い。今起きていることは、過去にも起こりえた、というのは大事な視点なのかもしれない。
参考文献
ストリゴラクトンの話
あるセミナーにて「ストリゴラクトン」の面白い話を聞いたので、調べてみた。
米山香織先生/若手研究が世界を変える! - こんな研究をして世界を変えよう
ストリゴラクトンとは
ストリゴラクトンは、「枝分かれホルモン」とも呼ばれる、植物ホルモン。以下のような構造を持つ化合物の総称である。また、AM菌(アーバスキュラー菌根菌)の感染誘導を行う物質としても知られている。

「六員環(A環)と五員環(B環),ラクトン環(C環)が連なった三環構造にメチルフラノン環(D環)がエノールエーテルを介して結合している特徴的な四環構造をとっており―――」(Kagaku to Seibutsu 53(3): 171-178 (2015) より一部抜粋)
上記の構造からさらに30種類以上の類縁体が見つかっており、非常に不安定で壊れやすく、ゆえに人工的な合成は困難といわれている。また、この類縁体は、種特異的であったり、科に共通するものであったり(例えばマメ科のみ)、科をまたいで有するものであったりと、未知な部分が多い(Kagaku to Seibutsu 58(10): 571-578 (2020))。さらに、植物はごく微量にしか生成しないので、検出も難しく、ゆえに研究が進みにくいだろうと思う。
植物は栄養が少なくなると、根からストリゴラクトンを土壌に放出し、これをAM菌が感知すると、感染、共生が始まる。面白いことに、複数の株が密生すると、根から放出されるストリゴラクトンの総量は変わらないが、株ごとの放出量は1/2、1/3...となるらしい。また、異なる2種の作物を混植すると、一方の作物から放出されたストリゴラクトンを感知して分げつ抑制することから、積極的に根から他種のストリゴラクトンを吸収することがわかっているらしい。他にも興味を引く内容と未知の部分が紹介されていた。
密生の極端な例として芝生が挙げられるが、上記の話がシバにも適当なら、ストリゴラクトン量は限りなく少ないのではないか。ベントグラスがAM菌と感染しにくいのもこれが原因なんだろうか。あるいは、AM菌が感染しにくい一部の植物と何か共通する部分があるのだろうか。これからも注目していきたい分野だった。
Crealtiy K1を買っちゃった
ブラックセールで6万円に安くなっていたので、Crealtiy K1をポチってしまった...
今年の5月ごろに発売したもので、売りとしては高速印刷。600 mm/sって早すぎでしょ。
今のkp3sと異なるのは、印刷速度(10倍以上)、ベッドがZ軸で動く、エンクロージャーあり、klipperファームウェアなど。まだ情報は多くないが、今のところ大きな不具合は出ていない。日本語対応していないがそこは気にならない。

思ったより大きいけど、見た目はかっこいい。あとライトあると雰囲気かっこいい。
試しに3D Benchyを印刷したら早送りを見てるような速度で印刷した。とんでもねえ化け物です。
でも…
さっそくの不具合発生
試しに15 cm四方の平たいものを印刷したら、ベッド左上あたりでゆがみが発生。印刷自体はできたものの、寸法がずれ、ゆがみの部分でゴリゴリ音が発生していた。原因はおそらくベッドにめりこんでいたこと。よく見ると、ベッドが傾いていた(上の写真は調整後)。
調整は以下の動画の方法でできた。こういう調整方法がのっているのはありがたい。動画だと、底面のテンションベルトの通し方が異なるけどいいのかな。まあテンションがしっかりかかっているし、目的は水平をとることだしよしとする。
Service Tutorial K1 How Bed Leveling - YouTube
kp3sの不具合多発に比べたら、これくらいはご愛敬か。標準でオートレベリング、klipperの加速度計算、さらには高速印刷は非常に魅力的。
これからガンガン動いてもらおう。kp3sは小さなものをメインに会社でがんばってもらおうかな。
樹木から鉄キレート剤を開発
樹木に20~30%含まれるといわれるリグニンを用いて、植物成長促進剤を開発する、というもの。東京農工大学などの研究グループが発表。
木質材料を硫酸で加水分解すると、「単糖類」と残渣に含まれる「硫酸リグニン」が得られる。前者は家畜飼料や発酵させてエタノールなどに使われるが、後者は樹脂化してしまい、利用が困難だった。彼らは硫酸リグニンをアルカリ水熱反応により水溶化させることに成功。これをイネなどに撒くと、土壌中の鉄をキレート化し、鉄欠乏を改善した。特に根の伸長に寄与するらしい。
リグニンは難分解物質で、セルロースに次ぐ地球上に多い有機物。利用価値ができれば理想的なバイオマスとなるだろう。
ただ、アルカリ水熱処理では280℃、NaOHを使うが、こうまでしないとリグニンは利用できないらしい。やはり自然分解は相当時間がかかると考えられる。
プリンター改造メモ

kingroon kp3sを購入してから半年、見た目は少し変わっている。
変更点を簡単にまとめておこうと思う。
1. ヘッド回り

ファンは2つ備わっており、一方は常時回転でヒートシンクに、もう一方は2層目以降のプリント時に回転して造形を冷やす。
前者はDC/DCコンバーターで24 V → 12 Vに落とし、12 Vのファン(もらったもの)を使用。コンバーターが表に出てるので、いつか本体内にしまい込みたい。後者はより静音で強力なものを使用。
ノズル周りは、ノズル先端を除き純正のものを使用。AliExpressですべて買える。ノズルはAmazonで適当に買ったもの。
・サーモミスタ
Kingroon-ガラス製の密閉型温度センサー,100k,ntc 3950,シングルエンド,端子XH2.54-2P,1mケーブル,3dプリンター1用
・ヒーター カートリッジ
Kingroon-ヒーターカートリッジ12v 24v 50w,6*20mm,セラミック,3dプリンター部品用ヒーター,reprap mendel v6 j-head
・ヒートブロック
3dプリンター用アルミ押出機部品,v5 jヘッド用ホットエンドヒートブロック,16x16mm x 12mm,5個,kp3s
・ヒートブレイク
Kingroon-titan押出機kp3s,1.75mmフィラメント用ステンレス鋼m6スレッド6x30mm,3dプリンター部品,2個4個5個
Kingroon-車のヒートシンク,kp3s 3.0 e3d v6,v6用の短い直接ヒートシンク,jヘッドウェード押出機,kp3s用の3dプリンター部品1.75mm
3D touchも搭載し、オートレベリングもできるようにしてある。
・3D touch
タッチセンサー付き3Dプリンター,Reprap mk8 i3用の3Dタッチセンサー,2022
ファンカバー(赤色のパーツ)は、以下をプリントしたものを使用。
自分の場合、ベッドとファンカバーがすれすれなので、底面は少しやすってある。
2. ベッド
ベッドにはデフォルトのマグネットシートを使っていたが、造形物を剥がす際にシートを削ってしまった。そこで、耐久性があるガラスベッドを使用している。平面もしっかりとれて使いやすい。
Kingroon-ホットベッド付き3Dプリンター,超ホットベース,表面,ガラスプレート310*310*4mm/235*235*4mm/220*220*4mm
3. XYZ軸

品質に大きく影響するXYZ軸の精度。直角は取れているようだったが、ベルトとプーリーを精度の良いものに変えている。
Trianglelab-タイミングベルトGATES-LL-2GT,幅6mm,9mm,ender3 cr10 anet 3Dプリンター用耐摩耗性
Trianglelab-タイミングベルトプーリー2gt 20 6mm p5,アルミニウムプーリー,6mm同期ベルト,ギアホイール
Openbuildsため10個cncクリアポリカーボネートvホイールプラスチックホイールpomプーリーvスロットリニアレールボールベアリング3Dプリンタ部品
4. ファームウェア
OctoPrintを導入し、遠隔での印刷が可能となっている。
印刷時に角がぷくっと膨らむのを防ぐためにKlipperを今後導入したい。